モンテッソーリ 子どもの家 (原題:Le maître est lʼenfant/英題:LET THE CHILD BE THE GUIDE)

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監督:アレクサンドル・ムロ
撮影:アレクサンドル・ムロ
録音:アレクサンドル・ムロ
編集:カトリーヌ・マムシエ
音響編集:クリストフ・ミレー
音楽:ダミアン・サランソン
カラリスト:ナターシャ・ルイ
先生:クリスティアン・マレシャル

ベルギー国境近くの街、フランス・ルーべにあるモンテッソーリ幼稚園。クリスティアン先生が受け持つクラスでは、2歳半から6歳までの年齢の異なる子供たち28人が机を並べている。子供たちの行動を妨げないよう細心の注意を払って教室に設置された小型カメラが、子供たちの自然体の姿や生き生きとした表情を捉え、彼らの成長を丁寧に観察する。

モンテッソーリ教育の教室では、決まった時間割やカリキュラムがない。子どもたちは各々が好きな”お仕事”に集中する。
「子どもはそれぞれ持つリズムが違う。無理に変えさせるのは苦痛が伴うのです」
モンテッソーリ教育法を編み出したマリア・モンテッソーリ(イタリア初の女性医学博士)の言葉である。
”観察映画”に徹した本ドキュメンタリーの監督アレクサンドル・ムロは、北フランス・ルーベにあるモンテッソーリ学校の幼児クラスに、カメラの気配を消して子どもたちを粒さに追う。”空け移し”と呼ばれる2つの容器から容器へ水やビーズを入れ替える子。アイロン掛けやマットを折り返す子。包丁や鋏を使いお料理するグループ。マッチを擦って蝋燭に火を灯しては消す子もいれば、高度な割り算に挑む子まで!みんな思い思いのお仕事に取り組む様子があまりに可愛らしく、頬を緩ませながら観ていると、あることに気付く。「なんて静かなんだろう!それに先生はどこ?」

素朴な発見にモンテッソーリ・メソッドの真髄が潜んでいた。子どもたちは自由に行動し、それぞれの“お仕事”に熱中しているため、教室は静かなのだ。子どもは手を動かしたり、本を読み、耳をすませる時は必ず集中している。作業が難しければ難しいほど夢中になって繰り返す。モンテッソーリはこれを「集中現象」と呼ぶ。
教室の主役は子どもたちであり、教師は受け身の存在。決して命令や指示はしない。謙虚な姿勢で子どもたちを見守る。間違いは指摘せず、やる気を失わせない。導き、誘うだけだ。ご褒美も罰もない。

教室に置かれた様々な「教具」。使い方に迷っている子がいたら、その子だけに集中して教える、というより作業を見せてあげる。「ねぇ先生」と割り込む子には、「ちょっと待ってね。今はこの子とお仕事してるから」…。それを聞いた子どもは自尊感情を満たされることだろう。

日本のお受験教育らしきカリキュラムはないため、学歴に価値を置く親は、発想の違いを感じるかもしれない。だが、アンネ・フランクから英国ロイヤルファミリー、Amazonのジェフ・ベゾス、Google創業者、藤井聡太棋士までモンテッソーリ教育を受けた、と聞けばどうだろう。
「手伝っ てもいい?」「ありがとう」などの習慣を異なる年齢間で自然に学び合えば、道端で困っている人に出会った時、声を掛けられる子に育つのではないか。卑近な例で恐縮だが、病身のため杖をついたり、キャリーバッグを持ちながら階段で四苦八苦することが多い。手を差しのべてくれるのは外国人男性ばかりであることを付け加えておこう。
(大瀧幸恵)

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2017年/フランス/105分/カラー/ビスタ/5.1ch
© DANS LE SENS DE LA VIE 2017
提供:スターサンズ/イオンエンターテイメント
配給:スターサンズ/イオンエンターテイメント
公式サイト:http//:montessori-movie.jp
★2021. 2.19 ㊎ より、新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国公開
posted by グランマゆきえ at 23:59Comment(0)フランス