愛しの母国 (原題:我和我的祖国 英題:My People, My Country)

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総合監督:チェン・カイコー
主題歌:フェイ・ウォン 
総合プロデューサー:ホワン・ジェンシン
監督:グアン・フー 、チャン・イーバイ、シュー・ジェン、シュエ・シャオルー、ニン・ハオ、ウェン・ムーイエ
出演:ホアン・ボー、オウ・ハオ、シン・バイチン、レン・スーシー、チャン・イー、ハン・ハオリン、ファン・ユジェ、リウ・タオ、サイモン・ヤム、カラ・ワイ、グォ・ヨウ、ワン・ドン、ティエン・チュアン・チュアン、リウ・ハオラン、アーサー・チェン、ソン・ジア、トン・リーヤー(※上映作品順)

1949年、次々と起きるトラブルに対処し、中華人民共和国成立宣言式典での国旗掲揚の準備をする人々。1964年、初の核実験を成功させるために自身の恋愛や青春を犠牲にしてきた者たち。1984年、街頭に置かれたテレビでロサンゼルスオリンピック女子バレーボール決勝戦を観戦しながら、好きな子に別れを告げようとする少年。1997年、イギリスからの香港返還を迎えるにあたって外交官、国旗掲揚者、警備を担当する警察たちが奮闘していた。こうして建国から70年の間に起きた歴史的瞬間の裏には、さまざまなドラマがあった。

国粋主義映画だと分かっていても、これほどの圧倒的物量・人海、資本投下、洗練された映像美、テンポとリズムに富んだ編集、巧みな脚本、スムーズに流れるオムニバス形式、それも市井の人々の視点から、モノ作り、ロマンス、初恋、喜劇、人情もの、アクションと揃えられては、主題の”高揚モーメント”同様、中国の観客は”国民皆歓喜”したことだろう。
国慶節の連休に歴代2位の興収記録(624億円!)を打ち立てたのも宜なるかな…。因みに、コロナ禍により半年間映画館が閉まっていた中国では、再開後にV字回復を示すほど観客が戻っているという。それだけ中国国民にとって映画は身近な娯楽なのだろう。

個人的に惹かれたのは【Episode3:初恋】。1984年年ロサンゼルス五輪女子バレーボール米 vs 中 決勝戦。街頭TVならぬ上海の路地裏TVにかじりついて実況を見守る群衆の中、少年ドンドンはアンテナを押えて画面を安定させる役割を命じられる。が、ドンドンの関心は別なところにあった…。
熱狂の嵐にある大人たちの中で、主人公のドンドンだけはその外にいる、という発想が小気味よい。屋根から屋根、路地裏から階段へと引力に関係なく滑らかに移動するカメラワークは見事!

【Episode6:流れ星】は、総監督を務めるチェン・カイコー作品。 ティエン・チュアンチュアン監督が俳優として出演し、強い物語性を持つ逸話を存在感たっぷりに牽引する。貧困問題にも触れており、本作の中では異色かもしれない。チェン・カイコーらしいスケールある映像美が魅力だ。
エピソードによっては、核開発や抗日戦争勝利パレードなど、日本人にとって微妙な感情を抱かせるものもある。本作はあくまでも中国の”高揚モーメント”映画なのだ。(大瀧幸恵)


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2019年/中国/シネスコ/155分/中国語/
配給・宣伝:wow cool entertainment 
配給協力:東京現像所
(c)2019Huaxia Films
公式サイト:http://www.wowcoolentertainment.com
★2020年10月30日(金)より、1週間限定でグランドシネマサンシャインでにて上映。その後、全国順次公開

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