製作総指揮:チャン・イーモウ
監督:ニン・ハオ(総監督)、チェン・スーチェン、シュー・ジェン、ダン・チャオ、
ユー・バイメイ、ポン・ダーモ、イェン・フェイ
出演:グォ・ヨウ、ホアン・ボー、ワン・バオチャン、リウ・ハオラン、ドン・ズージェン、
トン・リーヤー、ファン・ウェイ、タオ・ホン、チャン・イー、ワン・ジュンカイ、
ダン・チャオ、イェン・ニー、ワン・ユエン、スン・リー、シェン・トン、マーリ-
北京という名のお調子者は、名匠チャン・イーモウからの出演依頼を断ったとホラを吹いていた。UFOが出没したという南部貴州の田舎町を訪れたテレビクルーの前に怪しい村長、商人、農民発明家が登場する。アルツハイマー病を患う老教師のため、息子と教え子たちが彼にとって思い出深いものとなっている東部千島湖の村での授業を再現させようとする。西部で生まれたカリスマインフルエンサーと後輩が、母校の設立記念日に合わせて帰郷する。過疎化が進み年配の人々が大半を占める村で、画家とその妻が住んでいた。
冒頭、中国の原風景ともいえる田んぼが広がる。 ポツンポツンと案山子が顔を出す長閑な風景…。 画面はバスの中に切り替わり、禿げ頭の二人が大写しに。こんな風に5つのエピソードが綴られていくオムニバス映画。句読点のように、中国の人々が、自らの故郷について語るシークエンスが挟まれる。
姉妹作として前回ご紹介した『愛しの母国』ほどの国粋主義的な傾向は薄れ、コメディ一色の楽しい逸話が続く。国慶節では『愛しの母国』を抜いて、興収1位になったのも頷ける。中国は広大過ぎるため、東部・西部・南部・北部と分けられても、何となくイメージが沸かない。ただ、1話のように”北京”という名の男が北京に住んでいても、話すと「どこそこの訛りが丸出しじゃないか」と言われたり、登場人物たちがそれぞれの故郷を背負っているのが明らかだ。
あまりに田舎らしい光景なので、時代は遡るのかと思いきや、最新のスマホ、電子マネー決済、ロボットなどなどが小道具として普通に出てきて、”現代なのか!”と気付かされる始末。賑わうビアホールでほろ酔い気分から、「張芸謀にエキストラで出ろと言われたんだぞ」と 歌い出す役を有名俳優グォ・ヨウが演じるのだから可笑しい。
全エピソードとも軽妙な劇伴が流れ、お気楽ムードで観ていると、それぞれのの故郷に対する熱い思い、建国から再建・近代化までの苦労話、村おこし、村中をアートでいっぱいにしたり、 とてつもなく大きな田んぼアートが登場するなど、中国ならではの物量・人海戦術を投入したスケール感が味わえる。「世界一美しい村」と誇りたくなる矜持・自負が中国国民を支えていることが感じられた。(大瀧幸恵)
2020年/中国/シネスコ/152分/
配給・宣伝:wow cool entertainment /
公式サイト:http://wowcoolentertainment.com
©︎BEIJING JINGXI CULTURE&TOURISM CO.,LTD /CHINA FILM CO.,LTD
★11月6日(金)よりグランドシネマサンシャインにて1週間限定公開
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