監督・脚本:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ
出演:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ(パウル・コナスキー)、マティアス・シュヴァイクホファー(トニー・カッツ)
ビジネスパートナーでもある幼なじみのパウル(フロリアン・ダーヴィト・フィッツ)とトニー(マティアス・シュヴァイクホファー)は事業も順調で、多くの物に囲まれ充実した生活を送っていた。ある日大げんかした二人は大金を賭け、ある勝負をすることになる。それは衣服も含めた身の回りの所有物全てを倉庫に預け、裸一貫の状態から一日一つずつ必要な物を取り戻す生活を、100日間続けるというものだった。
フィンランドのドキュメンタリー映画『365日のシンプルライフ』は記憶に新しい。持ち物全てをリセットした青年の実験生活記録映画だ。本作はそれをベースにドラマとして大胆に翻案。舞台はドイツ・旧東ベルリン。ビジネスパートナーの男2人がおバカな意地の張り合いから、酔った勢いで勝負を始める。何もない部屋に真っ裸の男が寝転がっている光景は、日本人ならどうしても、TV番組の人気企画だった「なすびの懸賞生活」を思い出してしまう(笑)。
ドイツ人らしく、冒頭の論点整理から主題がすっきりと提示される。曾祖父母の時代、持ち物hs57個、インフレでそれらを失う。祖父母の時代は200個、ヒトラーによって失う。両親は650個、シュタージの監視を受ける。僕らは1万個!さて…。
始終ネットショッピングしているスマホ依存症の主人公パウルを監督・脚本も手掛けたフロリアン・ダーヴィト・フィッツ、親友のビジネスパートナー、トニーにはマティアス・シュヴァイクホファーという当代ドイツきっての実力派イケメン俳優が競演。出だしから長い階段を猛スピードで駆け下りるわ、 車をビュンビュン飛ばすわ、疾走感溢れる展開だ。
アプリ開発者オーディションでは、ミニマリストが”物を減らすアプリ”のプレゼンをしたり、伏線もバッチリ。勝負に失敗したら利益の半分を従業員へ、という約束をしたため、周囲はノリノリ!雪の中、裸で倉庫へ走る場面など笑える要素はいっぱいだ。予測不能・意外な展開が続き、果てさて勝負の行方は??
コロナ禍に入り、自らの生き方を再検証した人は多いはず。笑いながら人生を振り返らせてくれる快作だ。(大瀧幸恵)
2018年製作/111分/PG12/ドイツ/カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:トランスフォーマー、フラッグ
(C)2018 Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG / WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH
公式サイト:https://100simplelife.jp/
★2020年12月4日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷・有楽町、シネマート新宿他にて全国公開
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