監督:ジェームズ・マーシュ
出演:マイケル・ケイン、ジム・ブロードベント、トム・コートネイ、チャーリー・コックス
ポール・ホワイトハウス、レイ・ウィンストン、マイケル・ガンボン
かつて「泥棒の王(キング・オブ・シーヴズ)」と呼ばれたブライアン(マイケル・ケイン)。一度は裏社会から引退し、愛する妻と平穏な日々を過ごしていた。しかし、妻が急逝したことをきっかけに、かつての犯罪にまみれた自分が呼び起こされることになる。知人のバジル(チャーリー・コックス)からロンドン随一の宝飾店街〝ハットンガーデン″での大掛かりな窃盗計画を持ちかけられたブライアンは、テリー(ジム・ブロードベント)、ケニー(トム・コートネイ)、ダニー(レイ・ウィンストン)、カール(ポール・ホワイトハウス)ら、かつての悪友たちを集め、平均年齢60歳オーバーの窃盗団を結成。綿密な計画のもといざ実行日を迎えようとしたとき、ブライアンは突然計画から抜けると言い出す・・・。
英国史上「最高額・最高齢の金庫破り」と呼ばれた2015年に発生した有名な事件である。ミステリー好きのお国柄、当時は英国中が¨探偵ホームズ(?)¨と化し、推測合戦が起きたものだ。¨ハットンガーデン・ジョブ¨として何度も映画化・TVドラマ化され、各作品とも英国演劇界の重鎮らが演じてきた。¨世界一俳優の層が厚い国¨だけに、おじいちゃん俳優陣が上手いわ面白いわ、で飽きさせない。本作もご同様。映画ファンなら誰もが知る主演・オスカー級クラスの名優たちが居並ぶ布陣は見応えがある。
題名の「キング・オブ・シーヴズ」は¨泥棒の王さま¨という意味だが、それは過去の話。導入からご老体の¨あるある¨的な話で笑わせつつ、各人の個性が紹介される上手い滑り出しだ。何しろどのおじいちゃんもクセが強い!耳が遠い、腰が痛い、口を開けば憎にくしい悪口雑言を吐き、恥ずかしげもなく檳榔な話を披露、肝心なところはオトボケの老人力を発揮する(笑)。
ベテラン俳優陣から名演を引き出したのは、『マン・オン・ワイヤー』でオスカー®長編ドキュメンタリー賞を受賞し、『博士と彼女のセオリー』『喜望峰の風に乗せて』などのジェームズ・マーシュ監督。実話をドラマ化し、娯楽作に仕上げる技巧に長けている。
本作には嬉しいオマケがある。キャスト陣の若かりし頃、イキのよかった出演作のカットが時折、挟まれるのだ。あの映画この映画…殆ど観てきた作品ばかり。産湯に浸かった時から英国映画を観てきた程の英国好きとしては、懐かしく甘酸っぱい気持ちで一杯になる。有難う、楽しませてくれて…と名優たちの長く偉大な足跡を讃えつつ、これからもどうぞ元気で活躍して!と祈っていた。(大瀧幸恵)
2018/イギリス/スコープサイズ/108分/カラー/英語/DCP/5.1ch/
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
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公式サイト:https://kingofthieves.jp/
★2021年1月15日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
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