監督・脚本: アレッサンドロ・ジェノヴェージ
出演:ディエゴ・アバタントゥオーノ(ロベルト)、モニカ・グェリトーレ(アンナ)、サルヴァトーレ・エスポジト(パオロ)、クリスティアーノ・カッカモ(アントニオ)、ディーノ・アッブレーシャ(ドナート)、ディアーナ・デル・ブッファロ(ベネデッタ)、ベアトリーチェ・アレーナ(カミッラ)、ロザリナ・ドゥルソ(ヴィンチェンツァ)、アントニオ・カターニア(フランチェスコ修道士)
ベルリンで生活しているアントニオは役者仲間で同性の恋人パオロにプロポーズし、二人は結婚を決意するが双方の親がどういう反応を見せるかが問題だった。パオロはゲイであることを告白して以来母親と確執を抱えており、アントニオはイタリアにいる両親にカミングアウトと結婚の承諾を得るため、パオロを連れて帰郷する。母は息子の決断を歓迎する一方で、村長を務める父は大反対し、アントニオの結婚をめぐり対立した両親は離婚危機に陥ってしまう。
お腹を抱えて爆笑し、展開の妙に心底感心できて最後まで楽しめるイタリア映画は久々だ。見終われば誰もが幸せになり、鬱々としたコロナ気分は吹っ飛ぶかもしれない!全編が巧まざるユーモアに包まれ、伏線の回収も見事なもの。流石にNYオフ・ブロードウェイでのヒット舞台劇。脚本が練りに練られている。でも、タイトルにもなっている「天空の村」の奇跡のような眺望を堪能できるのは映画ならではの醍醐味。この世に天界が在るとは〜!
冒頭、若かりし頃のヒュー・グラント?と見紛う程のイケメンが、カメラに愛を語りかける。「君と出逢った瞬間を忘れないよ。人生を共にするのはこの人だと直感した」
カフェ、プール、バースデーケーキなどなど2人の想い出のショットが独白と共に遷移して行く。
「この指輪を受け取ってくれ」
差し出した相手へカメラが切り替わると…。先ず爆笑。
以降、蒼白な色調のベルリンから、陽光の射すイタリア、チヴィタ・ディ・バニョレージョへと舞台は移って行く。先の展開が読めない状況で、観客は笑いの船に乗り、登場人物と共に作品世界を心地好く遊泳するのだ。細かく伏線が散りばめられているので、コメディ場面もお見逃しないように。
ネタばれなしで面白さをお伝えするのは難しいが、ラストの大団円では一緒に歌い踊りたくなること請け合い。イタリア史跡の中を、教会の前で、よくぞカメラが縦横無尽に動き回る楽しいシーンを撮れたものだと感心する。薔薇に覆われたバルコニー、復活祭のリアルさ、美味しそうな食事とワイン、といったイタリアらしい映像も観光気分を味わえる。
映画の始原の力を感じさせるコメディの傑作。新年必見の1作かも?
(大瀧幸恵)
2018年製作/90分/G/イタリア∕カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:ミモザフィルムズ
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
提供:日本イタリア映画社
製作会社:Colorado Film
協力:Medusa Film
(C)Copyright 2017 Colorado Film Production C.F.P. Srl
公式サイト :http://tenkuwedding-movie.com/
★2021 年 1 月 22 日(金)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他にて全国順次公開
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