シャドー・ディール 武器ビジネスの闇 (原題:Shadow World)

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監督:ヨハン・グリモンプレ(『ダイアル ヒ・ス・ト・リー』)
原作:アンドルー・ファインスタイン著 『武器ビジネス:マネーと戦争の「最前線」』
出演:エドゥアルド・ガレアーノ(声)、アンドルー・ファインスタイン、デイヴィッド・リー、ヘレン・ガーリック、リッカルド・プリヴィテラ、ピエール・スプレー、ヴィジャイ・プラシャド、マルタ・ベナヴィデス、ローレンス・ウィルカーソン、クリス・ヘッジズ、ジェレミー・スケイヒル 他

金と権力、個人の野望が国家の安全保障や世界平和よりも優先される国際武器取引の実態を暴いたドキュメンタリー。アンドルー・ファインスタインのノンフィクション「武器ビジネス マネーと戦争の『最前線』」を原作に、「ダイアル ヒ・ス・ト・リー」のヨハン・グリモンプレが監督を務めた。告発者、検察官、軍事産業関係者らの証言を通し、国際武器取引を取り巻く政府や軍隊、情報機関、軍事会社、武器商人の複雑な関係を浮き彫りにし、武器ビジネスがいかにして腐敗を助長し、外交や経済政策に影響を及ぼしているのかを詳らかにする。

この記事を書いている1月22日時点で、米国最大の銃擁護団体である全米ライフル協会(NRA)が、団体登録先をNY州からテキサス州に移すとしている。日本の民事再生法に当たる連邦破産法11条の適用をテキサス州ダラスの裁判所に申請中。同州で組織を立て直す目論見だ。バイデン大統領の就任式を終え、トランプ前大統領を支持していたNRAは、保守層の多いテキサス州で如何ようなロビー活動を行うのか。
また、1月6日にトランプ前大統領支持者による米連邦議会議事堂襲撃が発生し、5人が死亡した事件も生々しい。武装した群衆、銃声が発せられるおぞましい光景は、耳目に焼き付いているだろう。支持者たちは銃規制の厳しいワシントンD.C.に於いて、規制線を突破する方法などを事前に練っていたという。計画的な犯行だ。

上記、米国内での事件や動向を掌握した上で本作を観ると、更に興味深い視点、発見が齎されるはずだ。世界から戦争、紛争がなくならない理由を詳細なエビデンスを基に、このドキュメンタリーは綴る。一部の人間にとっては、武器を商うため、常に¨仮想敵¨を形成する必要があるのだ。
映画の冒頭、第一次世界大戦で2万人以上の億万長者が米国で誕生したことを伝える。戦争→武器製造→武器商人→取引→ロビー活動→献金→戦争…。この循環には終焉がない。

米国その他の大国や軍需産業にとって戦争はビジネスであり、 武器を売るには戦争も紛争も、一般群集を巻き込んだ”憎しみの構図”は、無くてはならぬものなのだ。本作に登場する数多の政治家たち、その発言…。米国は国際法すら放棄し、未遂の敵まで標的にした。引用されるオバマ政権の事例。同政権時、副大統領に就任したのはバイデンだった。
無辜の民を奪い去る人間が億万長者として世界経済を跋扈する現状を少しでも変えたいならば、本作を観ることから始めるのもよかろう。
(大瀧幸恵)


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配給:ユナイテッドピープル
90分/ 2016年/アメリカ,ベルギー,デンマーク
©Shadow World Productions, LLC
公式サイト:https://unitedpeople.jp/shadow/
★2021年1月30日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー

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