監督:バート・フレインドリッチ
プロデューサー:ジュリアン・ムーア バート・フレインドリッチ
出演:出演:ジュリアン・ムーア、ミシェル・ウィリアムズ、ビリー・クラダップ、アビー・クイン
インドでの支援活動に打ち込んでいるイザベル(ミシェル・ウィリアムズ)は、メディア企業の経営者テレサ(ジュリアン・ムーア)に自身が運営する児童養護施設の支援してもらおうと、彼女のいるニューヨークを訪れる。テレサから娘の結婚式に来てくれれば支援について詳しく話せると切り出されたイザベルは、式に参列することに。だが、式で出会ったテレサの夫が自分のかつての恋人オスカーであり、新婦のグレイスが彼との間にもうけた娘であることに戸惑う。
デンマークのオリジナル版、スザンネ・ビア監督作『アフター・ウェディング』をご覧になった方も多いだろう。ジュリアン・ムーアが製作に乗り出し、夫のバート・フレインドリッチを監督に、ミシェル・ウィリアムズを共演者に選び、ハリウッドリメイクを実現させた。オリジナル版では、マッツ・ミケルセンとロルフ・ラッスゴードが演じた2人の主人公を二大女優に置き換え、米国を舞台にするとこうも変わるか、という印象が残った。
NYの女性起業家としてリッチな生活を送るテレサ(ムーア)、インドで孤児たちの救護活動に人生を捧げるイザベル(ウィリアムズ)。住む世界も発想も全く異なる2人が、テレサの娘の結婚式を契機に関係性が明かされて行く序盤はスリリングで期待を持たせる展開だ。
冒頭は空撮から始まる。南インドで子供たちと瞑想を行うイザベルを鳥の囀りと共に捉える。自然と一体になった毎日を送るイザベルの日常を切り取る鮮やかな導入だ。インドロケでの孤児院施設のリアルさ、貧民街の混沌とした様子、食糧配給の慌ただしさ、カラフルな色彩と躍動をカメラは活写する。
転じて、NYは静けさを湛えた都会を映し撮る。硬質な建造物に高級感を醸すインテリア・家具調度品。ナチュラルなトーンの色彩で統一された質感。庭というよりも豊かな¨森¨に覆われ、海に面した豪邸で執り行われる娘の結婚式。同じ地球の上とは思えない空間を交互に映し出すことにより、イザベルの違和感が可視化される話法だ。
この結婚式から不穏な空気が画面を横溢し始める。運命に翻弄される家族の苦悩と、その心理描写は丁寧且つ丹念だが、終盤の鍵となる¨事実¨のリアルさが欠けることにより、未消化感が残ったのは否めない。
(大瀧幸恵)
2019/英語/アメリカ/112分/5.1ch/カラー/スコープ/
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
© ATW DISTRO, LLC 2019
公式サイト:https://afterthewedding.jp/
★2021年2月12日(金)より、TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開
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