監督・脚本:ジェイソン·レイ.ハウデン
製作:ジョーニューローター、フェリペ·マリーノ、トム・ハーン
出演:ダニエル・ラドクリフ、サマラ・ウィーヴィング、ネッド・デネヒー、ナターシャ·リュー·ボルディッゾ、リス・ダービー
街で人々に殺し合いをさせ、その様子を視聴する闇サイト「スキズム」。そこへ攻撃的なコメントを書き込んでは仕事の憂さを晴らしていたゲーム会社プログラマーのマイルズ(ダニエル・ラドクリフ)は、彼の度を超えた荒らしぶりからサイトを管理する裏組織を率いるリクターを激怒させてしまう。リクターはマイルズの住所を特定して麻酔で眠らせ、両手にボルトで拳銃を固定した上に元恋人を拉致。目覚めて驚がくするマイルズにリクターは、スキズムで最強の殺し屋とされるニックスに勝利すれば元恋人を解放すると告げる。
両手が鋏になった男の話を仮に”女子ウケ”映画だとすれば、本作は完全に”男子ウケ”。殺し合いを生配信する闇サイト「スキズム」に熱中し、クソリプを繰り返す。日常でも銃(ゲームの中で)を手放せなくなっているゲーマーが主人公だ。プログラマーなのに会社へ遅刻し、上司から「さよならカード」を突き付けられる。汚部屋で目覚めると両手にマシンガンを溶接されていた!
こんなイタいダメ男くんを演じるのが、ダニエル・ラドクリフとは…。『スイス・アーミー・マン』以上にクレイジーでバッドチューニングな作品を選ぶラドクリフは、どこを目指しているのか?…という命題はさて置き、大真面目に演じるラドクリフに好感度はいや増す。
ラドクリフを追い詰めるサマラ・ウィーヴィングがやたらとカッコいい。 13歳から犯罪者施設に入り、 スキズムサイトで殺しまくって大人気。口を開けば”四文字スラング”を連発。男たち以上に屈強なワルを体現する。叔父に『マトリックス』や『ロード・オブ・ザ・リング』三部作で知られるヒューゴ・ウィービングを持つだけに目付きが鋭いこと迫力あること。パンイチ姿で逃げまくる情けないラドクリフと好対照だ。
デッド・オア・アライブなど、'80年代のノリのいい楽曲を使用するなど、監督・脚本を担ったジェイソン·レイ.ハウデンの趣味が活かされたブラック・コメディ。肩肘張らずに観ていると、意外な映像センスに感心したり。今後、案外バケるかもしれない監督だ。あまりの奇想天外な展開に驚き、大笑いしつつ、疾走感を楽しめる快作。
(大瀧幸恵)
2019年/イギリス・ドイツ・ニュージーランド/カラー/スコープサイズ/英語//98分/R-15
配給:ポニーキャニオン
提供:ポニーキャニオン/カルチュアパブリッシャーズ
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公式サイト:https://guns-akimbo.jp/
★2021年2月26日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
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