21ブリッジ (原題:21 BRIDGES)

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監督:ブライアン・カーク
脚本・ストーリー原案:アダム・マーヴィス
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
製作: ジョー・ルッソ、チャドウィック・ボーズマン
出演: チャドウィック・ボーズマン(アンドレ・デイビス)、シエナ・ミラー(フランキー・バーンズ)、ステファン・ジェームズ(マイケル)、キース・デヴィッド(スペンサー警視正)、アレクサンダー・シディグ(アディ)、テイラー・キッチュ(レイ)、J・K・シモンズ(マッケナ署長)

マンハッタン島で、8人の警察官が殺害される事件が発生する。かつて警察官だった父親を殺害されたデイビス刑事(チャドウィック・ボーズマン)は、全面封鎖されたマンハッタンで調べを進めていくうちに、思いがけない事件の真実にぶち当たる。窮地に立たされた彼は、たった1人で事件の背後に隠されたニューヨークの闇と向き合うことになる。

滾る情熱、強固な意思を漲らせた瞳、顔の奥に秘めた思索する皮膚呼吸、俊敏で靭やかな動き、観る者を痺れさせ身体全体から発する熱量、スクリーンを支配するスターパワーが燃え立つ煌めき…。チャドウィック・ボーズマン、享年43歳。本作の脚本に惚れ込み、主演のみならず製作にも参加した”アンドレ・デイビス刑事シリーズ”を映画ファンはもう目にすることはできないのだ。
撮入から4年前の2016年には、既にステージ3の大腸がんを宣告されていたが、事実を知っていたのはごく僅か。共演者にも告げていなかったという。
ボーズマンの躍動する役者魂が刻まれた血潮漲る熱いドラマは、アンドレ・デイビスが体現する眩い光そのものだ。

NY市が全面協力し、NYロケを敢行した本作の舞台はマンハッタン。犯人を取り逃がさないために
「マンハッタン島に架かる21の橋を全て封鎖しろ! 島を警察官で埋め尽くせ!」
指令を発するアンドレ刑事。ロケの規模、公道を使ったアクション、カーチェイスの迫真力。発砲する火薬さえ光彩を放ち、スケールの違いを感じさせる。
冒頭、少年だったアンドレが流す涙、壮麗な教会、真上から捉えたカメラアングル。一見、簡素に実景を捉えながら心象のベールを纏った画の力は、TVサイズに陥りがちなアクション映画を単純さから救っている。

途中から不穏な空気が画面を覆い尽くす。警察の暗部に巣食う原罪に迫り出す時、冒頭で語っていた牧師の言葉とシンクロする。人間の自己欺瞞がリアルに描かれるのだ。
『ダーティハリー』『フレンチ・コネクション』といった米国都市型アクションの系譜を受け継ぐ本作。監督のブライアン・カークは、 ロンドンに拠点を置くアイリッシュ系である。ボーズマンも英国オックスフォードの「ブリティッ シュ・ アメリカン・ドラマ・アカデミー」で学んだ経歴がある。
撮影はほぼ夜間。化学療法の苦痛に耐えながら朗々とした低音を響かせた渾身の演技は、絶え間ぬ努力が培ったものだろう。ボーズマンが画面の端々にまで込めた祈りが届くことを願いたい。観客は作品を完結させる最後の参加者。劇場の椅子は創造の場なのだ。
(大瀧幸恵)


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2019年製作/99分/G/中国・アメリカ合作
配給:ショウゲート
(C)2019 STX Financing, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:http://www.21bridges.jp/
★2021年4月9日(金)より全国公開

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