ジェントルメン (原題:THE GENTLEMEN)

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監督・脚本・製作:ガイ・リッチー
撮影監督:アラン・スチュワート 美術デザイン:ジェンマ・ジャクソン 衣装デザイン:マイケル・ウィルキンソン
編集:ジェームズ・ハーバート、ポール・マクリス 音楽:クリストファー・ベンステッド
出演:マシュー・マコノヒー、チャーリー・ハナム、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー
ジェレミー・ストロング、エディ・マーサン、コリン・ファレル、ヒュー・グラント

イギリス・ロンドンの暗黒街。一代で大麻王国を築き上げたマリファナ王のミッキー(マシュー・マコノヒー)が、総額500億円に相当するといわれる大麻ビジネスの全てを売却し引退するという情報が駆け巡る。そのうわさを耳にした強欲なユダヤ人大富豪、ゴシップ紙の編集長、私立探偵、チャイニーズマフィア、ロシアンマフィア、下町の不良たちが、巨額の利権をめぐって動き出す。

来ました、来ました!ガイ・リッチーという映画監督のサインが刻まれているかのようなタッチに、やっぱりコレでなきゃ、とファンは膝を打つだろう。ケイパー/ハイスト(泥棒・強盗)ものというより、全員が頭のキレる紳士然とした悪(ワル)。騙し騙されのスケール感も、金額とスタイリッシュさが格上だ。個性強すぎのワルたちが各々の知能や特技、人脈を活かして展開する。猛烈に速いテンポ、マシンガントークが炸裂する。会話によってキャラクターや関係性が紹介されるのだが、その殆どを担うのが私立探偵役のヒュー・グラント。台本の数十ページにも渡るであろう超長台詞を朗々と語りあげるのだから、舞台劇で鍛え上げられた英国俳優は流石に地肩が強い!

麻薬王のラスボスで米国代表マシュー・マコノヒーも良いが、その手下のチャーリー・ハナム。ゴシップタブロイド紙編集長役エディ・マーサン、詫びに来た(?)コリン・ファレル(アイリッシュ代表)、「ダウントン・アビー」とは真逆のミシェル・ドッカリー、ダウンタウンの少年ラッパーたちといった英国勢には敵わない!さらに、上流の仮面を纏ったユダヤ系大富豪、イケメンのチャイニーズ・マフィアにはヘンリー・ゴールディング(『クレイジー・リッチ!』)に強面ロシアン・マフィアも絡んでくるのだから、考え得る限りのワル揃い踏みだ。

スコッチ・ウイスキー、“オン・ザ・ピストル・ロック”を傾けながら、考え抜かれた台詞を口にする登場人物たち。ガイ・リッチーの世界観に身を委ねたくても、早すぎるストーリー展開に付いていけない情けなさ(笑)。1度観ただけでは全体像が掴めず、2度3度と確かめる奥深さも本作の魅力だ。
(大瀧幸恵
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2020年|英・米合作|カラー|スコープサイズ|DCP|5.1ch|113分|PG12
配給:キノフィルムズ 
提供:木下グループ
© 2020 Coach Films UK Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト:https://www.gentlemen-movie.jp
★2021年5月7日(金)より、全国公開

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