監督:河合勇人
脚本:徳尾浩司
音楽:日向萌
原作:はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ』(講談社YA!ENTERTAINMENT刊)
出演:城桧吏、酒井大地、 豊嶋花 、渡邉心結 、吉原徠地 、山下森羅 、りきまる 、谷垣有唯、松本ししまる、 松本大輝 、松澤和輝 、山本麗美、中川大志、 玉井詩織(ももいろクローバーZ)森崎ウィン 、本田翼 、市原隼人
中学生の内藤内人(城桧吏)は下校途中にクラスメートで御曹司の竜王創也(酒井大地)を見かけ、彼の秘密基地のような空間「砦」の存在を知る。翌日、創也に誘われ内人が地下道の奥にある部屋へ行くと、そこには4人から成るゲームクリエイターユニットの栗井栄太(市原隼人、本田翼、森崎ウィン、玉井詩織)がいた。内人と創也は栗井栄太に挑発され、新作ゲームに挑戦する。
良い意味で、今どきこれ程アナログ且つアナクロなゲーム映画があるのかと嬉しくなった。監督は『鈴木先生』『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』などなど青春ものの好編を放っている河合勇人だし、脚本は「おっさんずラブ」といったヒットメーカーの徳尾浩司。製作プロダクションは『つみきのいえ』がオスカー短編アニメ映画賞を受賞した気鋭の製作集団 ROBOT である。
いくらでもCGを駆使したり、デジタル的なギミックを弄してグラマラスな映像テクニックにでき得たはずだ。だが、プロ集団だけに知っていたのだろう。映像技術の進歩は日進月歩どころではない。今、最新の技術でも、明日には陳腐化してしまう。ハリウッド映画を見慣れて目の肥えている若い観客層に、「古い」「ダサい」と思われてはお終いだ。
本作のように、普通の街、どこにでもある市役所や図書館といった日常を舞台に、背伸びをしない自然体のリアルロールプレイングゲームの冒険を仕掛けたからこそ、温かな空気と普遍性を持ち得たのではないだろうか。演技経験の少ない少年少女俳優たちの生硬な芝居も、こうした背景ではしっくり馴染んでくる。
大ベストセラーのジュブナイル推理小説。原作者の、はやみねかおるは小学校教員の肩書きを持つ。本嫌いの子どもたちを夢中にさせる本を探すうち、自ら書き始めたという。そのせいか、読者の気を逸らさない仕掛けに長けている。本作も観客がハラハラドキドキ、最後まで登場人物たちと一体になって楽しめる構成だ。
シャーロック・ホームズとワトソン、謎解き、トラップを越え、オールクリア!のカタルシスを得られるはず。”フィボナッチ数列”のように知識や洞察力が求められる謎解き監修には、テーマパーク『東京ミステリー サーカス』を展開する集団SCRAPが担っている。
それにしても、『万引き家族』の城桧吏くんは大きくなったものだ。たどたどしい台詞回しも、妙に達者な子役が多い中では逆に擦れていないように見える。中川大志、市原隼人、本田翼、森崎ウィン、玉井詩織ら意外に(?)豪華な大人俳優陣との相性も良い。夏休みに家族で鑑賞するには最適の映画だろう。
(大瀧幸恵)
2021年製作/95分/G/日本
製作幹事:電通、ヨアケ
製作プロダクション:ROBOT
配給:イオンエンターテイメント
©️2021マチトム製作委員会
公式サイト:http://machitom.jp/
★2021年7月30日(金)より、全国公開
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