出演:蒔田彩珠 坂本真綾 入野自由 新津ちせ 永瀬莉子 高木渉 茶風林 神谷明
原作・コミュニケーション監督:四戸俊成/
アニメーション監督:白井孝奈
脚本:三宅隆太、瀧田哲郎、四戸俊成
キャラクターデザイン・総作画監督:佐川遥/
神様デザイン:小田裕康
色彩設計:垣田由紀子/
美術監督:佐藤豪志/
撮影監督:髙津純平/
音響監督:岩浪美和
クリエーション監督:坂本一也/絵コンテ:白井孝奈、坂本一也、望月智充
統括プロデューサー:オシア ウコ/
プロデューサー・ロケーション監督:三島鉄兵/
プロデューサー吉田佳弘
プロダクションマネージャー:里見哲郎/
スーパーバイザー:諏訪道彦
主題歌:『神無-KANNA-』miwa
母を亡くしたことがきっかけで、大好きだった走ることが嫌いになってしまった12歳の少女カンナ。固く心を閉ざす中、母の形見に触れた彼女の前に神の使いである白いうさぎが現れ、出雲への旅にいざなう。出雲に行けば亡き母に会えるかもしれないといううさぎの言葉を信じ、神々を迎えて祭る神話の地でもある出雲に向かうカンナは、行く手に立ちふさがる鬼の子孫・夜叉を筆頭に、八百万(やおよろづ)のさまざまな神と出会うことになる。
神話の国「島根・出雲」では、“神無月(かんなづき)”と呼ぶ10月を、国じゅうの神々が出雲に集い、翌年の縁を結ぶ集会をするという云われから、“神在月(かみありづき)”と呼んでいる。都内に住む小学6年生の少女カンナは、白兎に導かれ、出雲を目指して走る。背景に流れるのは、神々の集い、という神話的な題材ながら、躍動する爽快さを覚えるのは、カンナが冒頭から最後まで走り続ける疾走感によるものだろう。
カンナは、不思議ちゃんでも、夢見る少女でもない。ただ走ることが大好きな快活で愛情に包まれた女の子だ。カンナを苦しめる影も走ることで払拭してしまう。そんなヒロインの造形は光芒のように本作を輝かせる。
オリジナルアニメとしての魅力は、徹底した”和風”であること。時として国籍不明な意匠の国に住む金髪碧眼の少女が主役のアニメが跋扈する中、カンナはおかっぱ頭(ボブではない)に太い眉、高くはない鼻、丸っとした体躯で登場する。昔ながらの、あまりお洒落とは言えない体操服を着て、父が買ってくれた小さめサイズの運動靴を履く。何処にでもいる普通の少女が、この世と神々の境界を跨ぎ、疾走するのだ。
日本人のメンタリティに訴えかけるアニメの監督は、これがデビューとなる白井孝奈。カンナの声は、売れっ子の蒔田彩珠だ。『万引き家族』『朝が来る』などで影のある女の子を演じ、曇った声の印象を持つ蒔田が、これほど快活明朗な小学生の声を発するつとは!同一人物とは思えない。声優としての力量も合格点である。
出雲へ向かおうとするカンナを阻む鬼の少年・夜叉を人気声優の入野自由が務める他、安定した声優陣たちが本作を彩る。白井孝奈監督のデビュー作を支えるスタッフは、絵コンテには『海がきこえる』などの望月智充。色彩設計が『かぐや姫の物語』の垣田由紀子。撮影監督は『バケモノの子』『心が叫びたがってるんだ』『未来のミライ』といったベテラン髙津純平が担う。
子どもでも分かりやすい展開、日本的な画風に美しい出雲地方の自然描写、丁寧な絵造りと神がかり過ぎないホームドラマのバランスが光るアニメである。
(大瀧幸恵)
2021年製作/99分/G/日本
企画:クリティカ・ユニバーサル/
製作:「神在月のこども」製作御縁会
制作:ライデンフィルム/
音楽:ソニー・ミュージックレーベルズ
宣伝:パジー・エンタテインメント/
配給:イオンエンターテイメント
©2021 映画「神在月のこども」製作御縁会/『神在月のこども』
公式サイト:http://kamiari-kodomo.jp/
★2021年10月8日(金)より、全国公開
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