決戦は日曜日

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脚本・監督:坂下雄一郎
出演:窪田正孝 宮沢りえ 赤楚衛二 内田慈 小市慢太郎 音尾琢真

地方都市に強い地盤を持ち、衆議院議員に何度も当選してきた川島昌平の事務所で私設秘書として働いている谷村勉(窪田正孝)。中堅秘書として議員のサポート役に徹し、今の仕事にも満足していたが、ある日突然川島が病で倒れ、時を同じくして衆議院が解散する。地盤を継いで選挙に出る人物として、川島の娘の有美(宮沢りえ)が選ばれる。

昨今の邦画では希少なオリジナル脚本を開発し、しかも選挙を舞台にした喜劇をわずか15日間で撮り上げた坂下雄一郎監督の快作。誰しもが「あぁ〜」と気が付き、政治家の顔が浮かぶ時事ネタのパロディ満載だ。場面カット数は多く、台詞はマシンガンのように飛び交う。編集のテンポとリズムの緩急が見事。それでいてウェルメイドで品のいい喜劇に仕上げたのは、よほどスタッフ、キャスト陣の息が合っていたからに違いない。

主演は窪田正孝と宮沢りえだが、メインキャストは総勢13名が登場する群像劇でもある。エキストラを含め、スケジュール調整や現場を仕切る助監督が優秀だったのだろう。冒頭の”東日本大震災”を想起させる場面からスムーズに流れる展開は観客に没入感を促す。
「保守的な体制側の人間である秘書目線の方が皮肉さが増して面白い」
と坂下監督が語る通り、狙いがハマった。
映画は泣かせるより笑わせるほうが数倍難しい。坂下監督の喜劇センスが活かされた脚本に、スタッフ、キャストも惚れ込んで挑み、楽しみながら撮った様子がうかがわれるのは、邦画を応援する向きとして嬉しい。

坂下監督の強い要望が通り、多忙な中を出演快諾した窪田正孝は期待に応え、安定の好演。天然発言連続の”炎上女王”、迷惑千万な世襲議員なのに、なぜか憎めない…扮する宮沢りえは、これが本格喜劇映画は初というのが信じ難い程のハマり役だ。役作りに合わせたショートカット、赤の勝負服をキメつつ、謝罪会見には真っ白なスーツで臨むなど、スタイリストも良い仕事をしている。

品のいい喜劇に役立っているのは、音楽を担った渡邊崇の功績が大きい。軽妙且つ最小限に抑えた劇伴は、タイアップに頼りがちな邦画と対極にある小気味よさだ。
『モリのいる場所』など、沖田修一監督と組むことが多い撮影の月永雄太は、手持ち撮影を多用しながら安定したカメラワークを見せる。上から下から自在なアングルで、登場人物と適度な距離を置く安定感が素晴らしい。これらの効果も坂下監督の意図した話法だろう。

ネタばれを避けるため、内容に触れ難い紹介文になったが、笑いの勘どころを押さえた坂下ワールドは、新年の映画始めに相応しい楽しさだ。
(大瀧幸恵)


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配給:クロックワークス
製作:「決戦は日曜日」製作委員会 
制作:パイプライン 
Ⓒ2021「決戦は日曜日」製作委員会 
公式HP:https://kessen-movie.com
★2022年1月7日(金)より、全国公開


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