監督:マイケル・ブラックウッド/クリスチャン・ブラックウッド
出演:セロニアス・モンク (ピアノ)、チャーリー・ラウズ(テナーサックス)、ラリー・ケイルズ (ベース)、 ベン・ライリー(ドラムス)、パノニカ・ドゥ・コーニグズウォーター
自身のカルテットを率いて、 ヴィレッジヴァンガードやコロムビアレコードのレコーディングスタジオでのセッションに臨むモンク。 唇に 煙草を挟み、 汗まみれになりながら激しいパフォーマンスを繰り広げるモンクだが、 一旦ステージを降りると人懐っこい笑顔を浮かべ、庇護者のニカ(パノニカ・ドゥ・コーニグズウォーター)らととりとめもない会話に興じる。 そのギャップも彼の魅力のひとつ。
映画『ラ・ラ・ランド 』を観たジャズ好きの人なら、冒頭でライアン・ゴズリング扮するセバスチャンが、しきりに練習していたピアノ曲にピンときたはずだ。あの楽曲こそがセロニアス・モンクのアレンジした「荒城の月」である。‘66年のモンク来日時にジャズ喫茶のオーナーがモンクにあげたオルゴールの曲が滝廉太郎の「荒城の月」で、モンクがいたくお気に召した、という逸話が残っている。
日本人のメンタリティと通じ合ったモンク。モンクのドキュメンタリー作品は殆ど製作されていないため、円熟期である‘68年のライブ映像が収められた2部作の映画は貴重だ。
全編モノクロ映像、モンクの周囲を360度カメラが回る冒頭からしてカッコいい!カルテット演奏中、両手がふさがっているのに煙草を咥えるモンク。カメラはモンクに肉迫する。額に大粒の汗、 小指にはめた大きな指輪 を時々触る...演奏中に!モンクにとって思い入れのある指輪なのかもしれない。靱やかな指の動きに魅せられる。
モンクのソロは分かりやすく耳に心地好い。ジャズメンにありがちの独善的なアドリブソロではなく、聴衆を置いてきぼりにしないのだ。ヴィレッジヴァンガード、レコーディングスタジオでセッションする様子。幕間に何気ないお喋りをするモンクの姿が興味深い。なぜか札束の話や猫のことなど話しながら直ぐ演奏に向かう。スイッチの切り替えがスムーズだ。日本人には”チョンマゲもどき”のようにも見える帽子が面白い。ポーランドの帽子を被ったりすることもあり、帽子好きなモンク。大きな体躯に細いネクタイが似合っている。
(大瀧幸恵)
1968年 58分 | アメリカ | B&W スタンダード モノラル
配給・宣伝:マーメイドフィルム コピアポア・フィルム
(C)1968 All rights reserved by Michael Blackwood Productions
公式HP :https://monk-movie.com
★2022年1月14日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、UPLINK吉祥寺ほか全国順次ロードショー
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