バイオレンスアクション

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監督: 瑠東東一郎
漫画家:浅井蓮次
原作者:沢田 新
出演:橋本環奈・菊野ケイ、杉野遥亮・テラノ、鈴鹿央士・渡辺、馬場ふみか・店長、森崎ウィン・金子、大東駿介・アヤべ、太田夢莉・だりあ

菊野ケイは、日商簿記検定2級合格を目指し専門学校に通っていた。学校帰りのバスでビジネスマン風の青年テラノと出会い、ケイは胸を高鳴らせながらもいつも通りバイト先へ。一見、フツーのラーメン屋だが、その実態は殺し屋。ケイは、指名ナンバーワンの凄腕の殺し屋だった。キレたら恐い店長、不自然ヘアーの運転手ヅラさん、ケイに想いを寄せる渡辺と孤高のスナイパーだりあがバイト仲間だ。この日の依頼は、巨大なヤクザ組織を仕切る三代目組長からある人物を殺して欲しいという内容だった。そのターゲットとは巨大な抗争の渦中にいるヤクザの会計士、バスで出会ったテラノだった。そこにケイを狙う最狂の殺し屋みちたかくんまで現れて....!

デリヘル嬢だと思いきや、まさかの殺し屋ヒットガール!意表を突く設定が楽しい。ピンクボブでガーリーなファッションを纏った橋本環奈がドアフォン越しに微笑んだら、注文した覚えがなくても迎え入れてしまいそうだ。可愛いけれどハチャメチャに強い。『ベイビーわるきゅーれ』を想起させる本作の橋本環奈にしろ、邦画ではキュートな殺し屋映画が人気だ。過激なアクションを厭わない女優が増えていることもあろう。お人形さん的キャラクターに飽き足りず、エッジーな役柄を求める傾向は海外とて同じである。”可愛い”の代名詞のような橋本環奈の身体能力、コメディエンヌ素質の双方を満たした本作は、橋本環奈ファンには必見だろう。

見どころは、めくるめくグラマラスな映像表現だ。橋本環奈演じるケイが恋するキュンキュン乙女の気持ちを可視化する場面ではモンタージュ理論まで駆使する。サブリミナル映像ではないけれども、差し挟まれるお花畑とケイの紅潮した面持ちが交互に映る手法は『戦艦ポチョムキン』と同じだ。

『極主夫道 ザ・シネマ』『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』でもギミックを多用し、リズム感溢れる絵造りをしていた瑠東東一郎監督。最近作の中でも最もパンチとキレのある映像が現出した。それもそのはず、邦画では初の“ボリュメトリックキャプチャ技術”を採用。円柱状の専用スタジオに360度設置された数十台のカメラが、俳優陣の動きを3次元デジタルデータに変換するという革新的な撮影技術を用いることにより、肉眼では得られない方向や角度からの撮影が可能になった。

ケイと城田優扮するミソジニスト殺し屋の一騎打ちは、近年の邦画でも屈指の迫力!本作のアクション場面全般を通して言えることだが、目まぐるしく移り変わる短いショットは脅威の連続だ。編集作業はどれだけ大変だったか…。邦画離れしたテンポ良い神崎亜耶の編集技術に「上手い!凄い!」と何度も唸ってしまった。

ヅラ運転手の岡村隆史、箸休め的ボケキャラの鈴鹿央士(おかっぱ髪は地毛!)と、城田優が繰り広げるカーチェイスは編集技術の見せどころだ。カーチェイスの名編集といえば『フレンチ・コネクション』が挙げられるが、商店街やら細い道を抜けてトンネルにまで入るチェイスシーンは、”日本版フレンチ・コネクション” と呼ぶべき離れ業だ。快哉を送りたい。

気合いの入った監督とスタッフ陣の心意気に応えるべく、俳優陣も適役&実力派が揃った。冒頭で消えてしまうのが惜しいくっきー!(野性爆弾)、意外や正統派演技を見せる兵動大樹(矢野・兵動)。大阪弁が迫力の大東駿介、端正な若頭に高橋克典。メリハリのあるアクションが冴える森崎ウィン。凄腕スナイパー役の太田夢莉にはNMB48色を消す覚悟が見られる。凄味と貫禄、笑かしもしてくれる佐藤二朗は圧巻だ。

アクション監督のクレジットが珍しくなくなった邦画界。本作でも疾走感に満ちたスリリングな場面が痛快だ。笑いながらスピード感に酔ってほしい。
(大瀧幸恵)


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2022年製作/111分/PG12/日本
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント クレジット
©️浅井蓮次・沢田 新・小学館/『バイオレンスアクション』製作委員会
公式サイト:https://www.va-movie.jp/
★2022年8月19日(金)より、全国にて公開

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