ダニエル (原題:Daniel Isn't Real)

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監督・脚本:アダム・エジプト・モーティマー
脚本:ブライアン・デリュー
製作:イライジャ・ウッド
出演:マイルズ・ロビンス(ルーク)、パトリック・シュワルツェネッガー(ダニエル)、サッシャ・レイン(キャシー)、ハンナ・マークス(ソフィ)

内向的な少年・ルークは自分にしか見えないダニエルという空想上の親友がいるが、ある事件をきっかけにその存在を封じ込める。しかし時がたち、孤独と不安に押しつぶされそうになったルーク(マイルズ・ロビンス)が心の奥底にしまい込んだ親友を呼び覚ますと、堂々たる美青年となったダニエル(パトリック・シュワルツェネッガー)が姿を現す。彼のサポートによってルークの生活は見違えるように好転し、徐々にダニエルに頼らなくなっていくが、それを許さないダニエルはルークの精神を支配し始める。

冒頭から暗示される螺旋状の紋様、不穏な響きを奏でるオーケストレーション、点滅する光の洪水、逆光撮影の多用、短いショットを繰り返し、観客に焦燥感を与える、時折、挿入されるフランシス・ベーコンの絵画…。偶然にも、本作の主役マイルズ・ロビンスの父ティム・ロビンスが主演したエイドリアン・ライン監督作『ジェイコブズラダー』を想起させる作風だ。余談だが、『ジェイコブズ・ラダー』でティム・ロビンスの息子役を演じたのは、まだ幼いマコーレイ・カルキンだった。

マイルズ・ロビンス28歳。そして鍵を握るダニエル役は、パトリック・シュワルツェネッガー27歳。2大二世イケメン俳優が共演作に選んだのは、『ジェイコブズ・ラダー』と同じくサイコスリラー映画。高度な演技力を必要とする、若手俳優にとっては難役だ。2人とも及第点以上の力を発揮したのではないだろうか。
マイルズは父親譲りの親しみやすい笑顔と、母スーザン・サランドンのメソッド演技を引き継いでおり、パトリックに至っては父のアーノルドより数倍は演技巧者のようだ。

製作を務めたのは、幻想的サスペンス。ホラーに詳しい俳優イライジャ・ウッド。ハリウッド新世代による映画らしく、母親との共依存を下敷にした心理描写にも一工夫が施されている。幼年期のトラウマを抱えた孤独な青年と、彼を支配する”見えない親友”ダニエル。2人の人物造形は、時に激しく、狂おしく泣くかと思えば、妖しさを湛えた官能美を表出する、という複雑さ。
本作が長編3作目という監督・脚本のアダム・エジプト・モーティマーは次世代のスリラー/ホラーの騎手と呼ばれる新鋭だ。丁寧な人物描写、厚みのあるサウンドデザイン、計算し尽くされたライティングで精神世界の深度を掘り下げてみせた。
(大瀧幸恵)


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2018年製作/99分/R15+/アメリカ
配給:フラッグ
(C)2019 DANIEL FILM INC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:https://danielmovie.jp/
★2021年2月5日(金)より、新宿武蔵野館、渋谷パルコ8F WHITE CINE QUINTO、グランドシネマサンシャイン他にて全国公開

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