ワン・モア・ライフ (原題:Momenti di trascurabile felicità/英題:Ordinary Happiness)

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監督・脚本:ダニエーレ・ルケッティ『ローマ法王になる日まで』
脚本:フランチェスコ・ピッコロ
原作:『モメンティ ディ トラスクラビレ フェリチタ(取るに足らない幸せの瞬間)』
出演:ピエールフランチェスコ・ディリベルト、トニー・エドゥアルト、レナート・カルペンティエーリ、アンジェリカ・アッレルッツォ、フランチェスコ・ジャンマンコ、ヴィンチェンツォ・フェッレーラ、フランツ・サント・カンタルーポ、マンフレディ・パンニッツォ

シチリア島のパレルモに暮らす中年男パオロは、交通事故に遭遇し天国の入口に着く。あまりにも短い寿命に納得できず猛抗議すると、計算ミスが判明し寿命が延長され、92分間だけ地上に戻れることになる。これまでいいかげんに生きてきた自身を猛省したパオロは、人生に後悔を残さないために家族との関係を改善することを誓う。

イタリア喜劇の系譜は硬派な監督にも受け継がれていた!ローマ教皇フランシスコの半生を力強く描いた 『ローマ法王になる日まで』の ダニエーレ・ルケッティが脚本(共同)と監督を務める。アルゼンチンの近代史とも言えるほど政治的な背景と国家の軋みを表出した重厚な作品の監督が、母国ではこんな軽みの陽気なカンツォーネも流れる映画を著していたとは…。イタリア映画界の懐は深い。

シチリア島のパレルモが撮影地。映画ファンにとってはヴィスコンティ監督作『山猫』の舞台として記憶に焼き付いているだろう。或いは、マフィア組織コーザ・ノストラが牛耳った抗争の街?今や陽光の差す港や美しい砂浜、歴史を感じさせる石畳の路地、新鮮な地中海シーフードなどで人気のリゾート地となっているパレルモ。
冒頭から紺碧の空、真っ青な海を背景に流れるスキャットのバラードが心地好い。全体を通し、音響デザインの良さが本作に魅力的なアクセントを添えている。赤信号の交差点をスクーターで巧みにすり抜ける技を早口で得意気に独白するパオロ。活写されるパレルモの街並みは活き活きと息づき快調そのものだ。
アッという間に天国へ…召される瞬間、過ぎる思い出は愛する妻子ではなく、ガソリンスタンドや電車内のハンマー、愛人の意味深発言などなど…。どうなってるの?この男…。

パオロを演じるのは、パレルモ出身のフランチェスコ・ディリベルト。テレビの世界で司会者や放送作家をこなし、映画監督でもあるイタリアの人気俳優だ。妻のママ友に手を出したり、しょうもないダメオヤジなのに何故か憎めない。ルケッティ監督が「当て書きした」と語るのも納得のはまり役。
番号待ちとなっている天国の入口や、抗議するパオロの”理由”が笑える。審判を下す門(?)の意匠がルネッサンス風の質感を齎しているところは流石にイタリアだ。
ワンモアチャンスを与えられたダメオヤジの92分一本勝負を楽しめる。
(大瀧幸恵)


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2019年/イタリア/94分/シネスコ/5.1ch/言語:イタリア語
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館(ロゴデータあり)
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
© Copyright 2019 I.B.C. Movie
公式サイト:http://one-more-life.jp
★2021年3月12日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開

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