ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけている (原題:Billie Eilish / THE WORLD’S A LITTLE BLURRY)

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監督:R・J・カトラー
出演:ビリー・アイリッシュ、フィニアス・オコネル、パトリック・オコネル、マギー・ベアード、他

2019年に発表したデビューアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」が世界各国でヒットし、グラミー賞では年間最優秀アルバム賞のほか主要4部門を独占したビリー・アイリッシュ。普通の少女がスターになったことにより、周りの環境も急速に変化していく中、彼女を心身両面で支えたのは家族の存在だった。

13歳、金髪お下げ髪。「初めて KCIWラジオで自分の曲が流れたよ!」と狂喜乱舞するビリー・アイリッシュが可愛い。傍らにはいつも兄フィニアスの姿があった。こんなホームビデオがふんだんに盛り込まれた本作は、ビリーの丸ごと全部が詰まったドキュメンタリーだ。ナレーション、説明の字幕も一切ない。説明の不在を凌駕した剥き出しの説得力があるのだ。ファンは画面上に映るビリーの歌い踊り、笑い、時には泣き叫ぶ姿を観ながら、感情が同期化している自分に気付くだろう。

2018年、米国ソルトレイクシティ。銀髪の17歳ビリーは、熱狂的ファンに囲まれて上機嫌だ。メローな曲なのに激しく踊ってしまう若さいっぱいのステージ。スタッフたちもビリーの頑張りに応えようと逆光の美しい映像でステージを盛り上げる。ビリーの声に呼応してファンは大合唱。前列の観客が怪我をしたと見るや、駆け下りて助けるビリー。
「いつもファンの気持ちに寄り添いたい。ファンではなくて自分の一部なの」
双方の蜜月が続く。

ジャスティン・ビーバーと車が大好きなビリーは典型的な“アメリカン・ガール”だ。日本でいえば、ジャニーズと表参道が好き、という感じか。ヲタク趣味はなく一般的な女の子。仮免試験場に向かうビリー。
「パパはマツダ、兄はホンダの車に乗ってるの。あぁ、早く自分の車が欲しい!」
学校に通ったことはなく、全て自宅学習のビリー。
「初恋は12歳。ジャスティン・ビーバーを妄想カレシと思って動画を見まくってたわ」
あまりにジャスティン・ビーバーに夢中過ぎる娘を心配して、母は「セラピーに行かせようか?と思った」と語る。まさか、ジャスティンとコラボする日が来るとは、家族も予想していなかったろう。コーチェラ音楽祭でジャスティンにハグされ、胸に顔を埋めて泣くビリー。感情を隠さない素直な発露のビリーに、観ている側は共感しきりである。

海外ツアーにも同行する家族をビリーは信頼し、頼りきっている。このような庇護の関係を米国では「セキュリティ・ブランケット」と呼ぶそうだ。毛布で包むように危険から守ってくれる…。自由な音楽活動、伸ばされた才能も家族あってのことだろう。
だが、有名になるに連れ、ストレスは増して行く。ライブ後、疲れ切った身体を引きずっての撮影会。曲作りのプレッシャー。チック症状があることを初めて知った。カメラの前でも持病を隠そうともしないビリーの姿は衝撃だ。
グラミー賞四冠を獲った今でも、兄のベッドルームで曲作りをするビリーは本当に自然体だ。このまま真っ直ぐ伸びて屈折することがないように、と祈ってしまう。エンドロール後にお宝映像が流れるので、こちらもお楽しみに!
撮りたてのビリーが丸ごと詰まった缶詰め、おひとつ如何ですか?
(大瀧幸恵)


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2020 年/アメリカ/140 分
配給:シンカ 宣伝:Eastworld Entertainment
提供:Eastworld Entertainment
©2021 Apple Original Films
公式サイト: https://www.universal-music.co.jp/billieeilish-theworldsalittleblurry/
★2021年6月25日(金)より、新宿ピカデリー にて、限定公開

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