リスタート

16251564116040.jpg

監督・脚本 :品川ヒロシ
音楽 :HONEBONE
撮影 :Yohei Tateishi
出演:EMILY(杉原未央)、SWAY(大輝)、品田誠、朝倉ゆり、夏目ベール、藤井俊輔、向井日菜海、阿部隼也、かんた、岩崎う大、もりももこ、西野亮廣、松田大輔、庄司智春、小杉竜一、黒沢あすか、中野英雄

シンガー・ソングライターを夢見て上京するも、現実は売れない地下アイドルとして活動する杉原未央(EMILY)。あるとき有名アーティストとのスキャンダルに巻き込まれ、傷つき疲れ果てた彼女は故郷の北海道下川町に帰るが、家族や友人とうまく向き合うことができずにいた。あるとき、同級生の大輝(SWAY)に思い出の場所へと連れ出された未央は故郷の自然に心を癒やされ、少しずつ前を向いていく。

「学年16人しかいない高校だもんね。全員と付き合ったよ!あ?あんたは別!(笑)」
笑わせてくれる女子同級生。主人公の杉原未央が育ったのは、緑深く豊かな森、透き通った雪解け水がせせらぎ、澄んだ空気が流れる北海道・下川町。大自然に調和したログハウス民宿を営む母の再婚相手は語る。
「俺も都会にいた時は下ばっか向いてたけど、下川きたら上見上げるもんなぁ。星が綺麗だからさぁ。顔を上げるんだよ」
品川ヒロシ監督作の登場人物たちは語り口が軽妙だ。お笑い芸人特有の”耳の良さ”が心地好いテンポとリズムを生む。脚本を忠実に再現するのではなく、俳優の身体内奥から発せられる言葉が映画全体を活気づかせている。ボケとツッコミのノリに聞こえて、実は上記のようにさり気ない含意が潜んでいるのだ。

品川監督のオリジナル脚本による本作は、容赦ない私生活の暴き、芸能界のヒエラルキー、無責任なSNS、肥大化する妄想、敗者復活を阻む現代の世相を上手く取り込んでいる。正視するのが辛い事象を捉えながら、下川町の大自然の如く、温かい視線で主人公を包含する。
主人公の人生再生「リスタート」物語自体に新味はない。が、切り口や描出方法が深刻さを抑えたせいか、既視感がないのだ。クラウドファンディングで予算を集め、俳優陣は殆どが無名。タイトな撮影日程とロウバジェットが窺えながらも好感の持てる佳編に仕上がった。

冒頭、夢を叶えようとする主人公・未央と応援する同級生たちを引きのカメラで360度写し撮るおおらかな映像が美しい。下川町の大自然に包まれていた未央が、都会の悪しき洗礼を受け、一気にドン底へと堕ちて行く過程はスピーディーだ。
『サンブンノイチ』でヒロインに仕立てた中島美嘉は、お世辞にも上手いとは言えずゲンナリしたが、本作で抜擢した男女フォークデュオ HONEBONE のボーカル EMILYは、映画初出演と思えない程、強い存在態様を示す。説得力と豊かな声量の歌声は圧巻だ。起用は成功だろう。
ところで、傷付きボロボロになった未央を癒し励ますネイチャーガイド兼カメラマンの同級生を演じる劇団 EXILE のSWAYが、監督デビュー作で主演を務めた成宮寛貴にそっくりなのは、偶然か?監督の好みなのか?と考えてしまった(笑)
(大瀧幸恵)


16251564899541.jpg

2019年製作/100分/G/日本/シネマスコープ/5.1ch
制作・配給・製作:吉本興業
(C) 吉本興業
公式サイト:https://restart.official-movie.com/
★2021年7月16日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、テアトル新宿ほか全国公開

"リスタート"へのコメントを書く

お名前:
メールアドレス:
ホームページアドレス:
コメント: